ライフイベント×お金|人生でかかる費用を読み解く

家賃や光熱費の支払いを見直すだけで家計が変わる理由

毎月の支出を振り返ると、食費や交際費といった変動費ばかりに目が向きがちです。しかし、家計の改善を効率的に進めるなら、まず着手すべきは固定費の見直しといえます。

固定費とは、家賃や光熱費、通信費、保険料など、毎月ほぼ一定額で発生する支出を指します。変動費と異なり、一度見直せば削減効果が持続する点が最大の特徴です。

なぜ固定費の見直しが効果的なのか

固定費の節約が優れているのは、継続的な効果が得られる点にあります。

たとえば、月7,000円のスマートフォン料金プランを月3,000円のプランに切り替えた場合、毎月4,000円の節約になります。年間では48,000円、10年間では480,000円もの削減となり、プラン変更後は特別な努力を要しません。

一方、食費を削るために毎日自炊をしたり、日用品を安く購入するために複数の店舗を回ったりする変動費の節約は、継続的な労力が必要です。もちろんこうした努力も大切ですが、効率を重視するなら固定費から手をつけるべきでしょう。

家計における固定費の理想的な割合

家計管理では、収入の45%を固定費、35%を変動費、残り20%を貯蓄にまわすのが理想的とされています。固定費が収入の50%を超えているなら、見直しの余地があるといえます。

支出項目 理想の割合
固定費 45%
変動費 35%
貯蓄 20%

家賃の見直しで実現できる家計改善

家賃は固定費の中でも最も大きな割合を占める項目です。収入に対して適切な家賃水準を維持することが、家計の安定につながります。

家賃が家計に与える影響

一般的に、家賃は収入の3割が目安とされています。ただし、収入自体が少ない場合、3割でも家計を圧迫してしまう可能性があります。

手取り収入に対して家賃が30%を超えており、生活が苦しいと感じるなら、引越しを検討する価値があるでしょう。

引越しには初期費用や手間がかかるため、現在の家賃と引越し後の家賃差額、初期費用を総合的に計算することが重要です。たとえば、家賃差額が月1万円で初期費用が100万円かかる場合、相殺に100か月必要となり、引越しのメリットは薄れます。

今の住まいでできる家賃の見直し方法

引越しが難しい場合、契約更新のタイミングで家賃の値下げ交渉を検討する方法もあります。周辺の類似物件より家賃が高い、共用スペースが劣化している、日照条件が悪化したなど、明確な交渉材料があれば成功する可能性があるでしょう。

また、これから部屋探しをする方は、家賃を抑える条件を把握しておくと有利です。急行の停まらない駅、駅から徒歩10分以上の距離、和室など、家賃が下がりやすい条件で物件を探すと、相場より安い物件が見つかりやすくなります。

光熱費の見直しで無理なく節約する方法

光熱費は家賃に次いで大きな固定費であり、見直しによって年間数万円の削減が期待できます。電気代やガス代は契約先の変更で節約できるため、日々の細かな努力よりも効果的です。

電気代を削減する最も効率的な方法

電気代の節約で最も効果的なのは、電力会社やプランの見直しです。2016年の電力自由化以降、各家庭のライフスタイルに合わせた多様なプランが登場しました。

電力会社の切り替えは、インターネットで申し込むだけで完了します。現在契約中の電力会社への解約手続きは、切り替え先が代行してくれるため、手間はほとんどかかりません。

使用量や生活パターンによって最適なプランは異なるため、比較サイトを活用して自分に合ったプランを見つけることが大切です。

ガス代の見直しで光熱費をさらに削減

ガス代も電気代と同様、2017年のガス自由化により、契約先を自由に選べるようになりました。都市ガスを利用している方は、料金プランの見直しで年間数千円の節約が期待できます。

また、電気とガスをセットで契約すると割引が適用される場合もあります。ただし、セットプランが必ずしも最安とは限らないため、電気とガスをそれぞれ別の会社で契約した方が安くなるケースもあり、複数のパターンを比較検討することが重要です。

水道代の節約は使い方の工夫から

水道代は電気やガスと異なり、契約先を変更できません。そのため、日常的な使い方を見直す必要があります。

  • 節水シャワーヘッドに交換する
  • お風呂の残り湯を洗濯に活用する
  • トイレの「大」「小」を適切に使い分ける
  • 食器洗い乾燥機を活用して手洗いを減らす

こうした工夫を組み合わせることで、月々の水道代を数百円から千円程度削減できる可能性があります。

家計改善の第一歩は支出の見える化から

固定費を効果的に見直すには、現在の支出状況を正確に把握することが不可欠です。家計簿をつけて「見える化」することで、どこに無駄があるのかが明確になります。

家計簿をつけるメリット

毎月何にいくら支払っているのかがわからなければ、何を節約すべきかも判断できません。まずは1か月間、すべての支出を記録してみましょう。固定費と変動費を分けて記録すると、家計の構造が見えてきます。

記録を続けると、「毎月何となく支払っているサービス」や「使っていないサブスクリプション」といった無駄が見つかるはずです。こうした項目を解約するだけでも、月数千円の節約につながります。

見直しの優先順位を決める

すべての固定費を一度に見直すのは大変です。まずは金額の大きい項目や、削減効果の高い項目から着手しましょう。一般的には、家賃、光熱費、通信費の順で見直すと効率的です。

また、年に一度は固定費全体を見直す習慣をつけることをおすすめします。ライフスタイルの変化に合わせて、不要になったサービスを整理することで、継続的に家計を改善できます。